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応用事例

5G信号をミリ波で再生&キャプチャ

先日、Wireless Technology Park(WTP2018)展示会にて紹介しました
ミリ波研究装置の信号について解説します。

下記が装置の構成です。800MHzに達する広帯域の信号を送受信しています。
RF部はRFtestlab様に作成頂きました。他の部分はアイダックスの製品です。
構成図ではホーンアンテナが描かれていますが、収集したデータは-20dB_ATTの
導波管で電波を送信・受信しています。

79GHzはレーダーの周波数ですが、この周波数に5Gの信号を通してみました。
具体的な周波数にはこだわらず、今あるもので広帯域のミリ波を測定しました。
ちなみに、5Gでは28GHzや60GHzなどが検討されています。
MW_system

5G信号の作成には、新潟大学:西森先生に協力を頂きました。5G信号には、
FMBC,UFMC,GFDMなどがありますが、今回は低サイドローブを確認出来る
FMBC信号を採用しました。
西森先生はこの信号作成に苦労するかと思いきやMATLAB/Simulinkの
LTE Sysytem Toolboxにある5G Libraryを使って容易に作成出来た
とのことでした。

下記のFFT表示は、正規化されたデータをD/Aチップ(AD9144)の分解能16ビットに
変換し、弊社のデータ収集再生装置PCDAQにて読み込んだものです。

ノイズのない理想的な送信波形は、なんと90dBもダイナミックレンジが取れています。
サンプリング周波数は、1.15GHzであり、I/Qの2chデータです。複素FFT表示をすると
1.15GHz帯域の中に800MHz帯域のFMBC信号が見えており、-90dBm以下で広がりが無く、
低サイドローブであることが判ります。
FMBC_K4x12

次のFFT表示は、上記の理想的な信号をI/Qの2chにD/A再生して、
そのままループバックで2chのA/Dサンプリングしたデータを複素FFT表示しています。
D/A出力部もA/D入力部もOPアンプのDCカップリングですが、広帯域を達成しています。
A/Dチップ(AD9680)は14bit分解能です。

RF部のない状態では、ノイズと信号レベルの差は50dBを実現しています。
50dBは決して低い値ではありませんが、サイドローブまでは観測出来ない
結果となりました。
DigitalLoopback

最後の複素FFT表示は、RF部を通して79GHzで送信し、-20dB_ATTの導波管を通過し、
受信されたI/Q信号を表示しています。更にノイズが加わるために約25dB程度しか
信号とノイズのレベル差が得られていません。

このレベルでも信号再生は出来るとのことで、西森先生には信号解析を
お願いしています。結果が出ましたらお知らせしたいと思います。

まだまだ改善の余地がありますので、引き続き検討して行きます。
RF_Tx_Rx